2010年に発売されたFPS「metro 2033」についてのレビュー記事になります、今回はリメイク版のreduxをプレイしていますが初期版もリメイク版も大きな違いは無いと思います。
核戦争後の地下鉄、人々は辛うじて人としての生活を続けていた
2010年にウクライナのゲーム会社から発売されたFPSの「metro 2033」はその後リメイク版のreduxや続編のExodusを含め現在に至るまでポストアポカリプス、ハードコアFPSとして高い評価を誇っています、未だにこの元は10年以上前のゲームに魅せられる人が跡を絶ちません。
重厚なストーリーと世界観、高い難易度や非常に恐ろしいホラー要素と魅力満載な本ゲームですが今回はレビュー記事としてそれらの要素などの感想と解説をしていきます。
PC版の日本語化について
長らくmetro redux PC版の日本語化は技術的な面で実現不可能な状況が続いてましたが現在は非常にありがたいことに日本語化MODがリリースされています、ファイルを上書きするするだけの簡単仕様かつ日本語訳も自然と素晴らしいです。コンシューマ版は日本語吹き替えも完備されているようです、とにかく現在は非常に快適に日本語環境でゲームを楽しむことが出来ます、本当にありがたい次第ですね!
人々は地下に潜った、生き残る為に
metro 2033は核戦争後の世界が舞台のゲームです、地上は汚染された状態なので地下でないと人間は生きていくことが出来ません。そしてその地下も全く安全な場所なんかではなく何らかの動物が変異した醜悪なミュータント、物資を殺して奪ってくる野盗、終末後の世界でもイデオロギー闘争を繰り広げているナチスや共産主義者、挙句の果てにはダークワンなる謎の新種のミュータントまでが跋扈しているのがmetro 2033の地下鉄です、一言で言ってしまうと地上も地下も地獄ということです。
そして地下は今書いたようにそんな状態なわけですかそれでも必死に人間らしい生活を営もうと努力している人々が居ます、地下鉄では各駅がそれぞれ集落のような状態になっていてmetro 2033の主人公であるアルチョムもその駅の1つで育った人間の1人です。駅によって豊かだったり崩壊寸前だったり状態は様々です、1つ駅を移動するだけでガラリと駅内の雰囲気が変わるのはよくあることです。
駅間を移動するためには当然線路を移動しなくてはいけないわけですがその移動も多大な危険を伴います、ただ物資を駅から駅へ輸送するのも戦場への兵站輸送のような状況なわけです。
異色の地下鉄が舞台のゲーム
metro 2033というタイトルの通りこのゲームは地下鉄が舞台の異色なゲームです、当然地下鉄内ですので基本的に非常に暗くて狭いです、常に体にまとわりついてくるような濃い漆黒が支配しています…人間だろうがミュータントだろうが敵の場所を特定するのが困難な状況なことが多いです。地下鉄内では常に闇に囲まれている状態ですのでライトを点灯させることが必須です、ですが当然ライトで周りを明るく照らすと敵に見つかりやすくなります、ライト自体の光量も大したことなくて点灯しても暗いです。そしてバッテリーも消耗してしまうので定期的に手動でのバッテリー充電が必要になります、バッテリーの消費速度は大したことないですが常に後述するガスマスクフィルターの残量と同じように気をつけないといけないのでそれが適度な緊張感に繋がっています。
地下には科学では到底説明できない現象が…
metro 2033の大きな特徴の1つなんですがオカルト的な要素が頻繁に登場します、霊的な要素だけではなく超常現象なども含まれます。それらの要素は安っぽいホラー演出なんかでは無くてオカルトでありながら妙な生々しさを感じるのがこのゲームの凄さです、この地獄そのものの世界に合致しているわけですそれらの要素が…なにせ悲惨な死や怨念なんてものが地下鉄中に充満しているようなものですからね。人が住んでいる比較的平和な場所から一歩でも足を踏み出すととたんに地獄のような場所に様変わりします、廃線を1人で進んでいるとすぐ隣に誰か、なにかの気配がする、それが気のせいなのか本当に驚異が迫っているのか、判断が出来ない恐怖。それらの不安や恐怖はミュータントという形で顕現することもあれば、「影」のような姿で現れることもあります、そういったことが起こっても、特別おかしいわけじゃないと思えてしまうのがこの地下鉄というわけです。
崩壊したモスクワ、汚染された空気、ガスマスク
このゲームの主な戦場は基本的に地下ですが地上に這い出て活動することもあります、地下鉄は荒廃したモスクワの地下に存在しているので出ようと思えば地上に出られます、当然地上は地上で地獄ですが。地上は地下と違って常にガスマスクが必要です、何らかの有毒な物質が充満しているようでガスマスクが無いとじわじわ酸欠状態になって最後には死んでしまいます。
崩壊したモスクワの町並みと危険なミュータント、そして常にガスマスクが必要というまさに極限状態といった感じの場所です、常に緊張感が高まり油断が出来ない、それは地下と全く同じですが地下とは性質がことなる重圧が胸にのしかかってきます。
ガスマスクのフィルターシステム
ポストアポカリプスな世界観を象徴するような必須アイテムといえばこ存じガスマスク、同じポストアポカリプスな世界観のFalloutシリーズも全てパワーアーマー=ガスマスクが大きくパッケージに描かれてます、ガスマスクは世界が終わったあとの必需品!
そしてMetro 2033のガスマスクです、このゲームではガスマスクのフィルターは使い捨ての消耗品です、なので定期的に交換しなくてはいけません、これだけ書くとなんだか面倒なシステムに感じるかもしれませんがここが非常によく出来ていると自分は感じます。まずこのガスマスクのフィルターは消費はある程度早いですが数はかなり手に入るます、つまり定期的にフィルター交換によってガスマスクの必要性とこの場所は人体に有害な場所だという緊張感や切迫感を植え付けることによってゲーム全体の没入感を高めている効果があると思います。そして今書いたようにフィルターの数自体は多めに手に入るんです、つまりフィルター切れで積むことはほぼ無くてそこまで煩わしさを感じません、それでいて演出してはとてもよく出来ていてバランスが見事です。
基本的に一本道だが脇道もある、手軽な探索要素
地下や地上関わらずゲーム進行に直接関係ない脇道もあったりします、その先に弾薬やフィルター、あるいはレアな武器なんかが落ちていてそういった探索も楽しいです。上の画像は地上に点在するセーフハウス?みたいなもの、おそらく地上で休まなければいけない状態になったときように用意しているものです…外から微かに光が漏れて存在に気づけました、演出が良いですね。セーフハウスの存在は物資の入手といった探索の楽しみと人間が何とか生き残ろうとする努力を垣間見れて世界観への没入感としてもとても良い演出だと思います。
このゲームは基本的に一本道なんですが少しだけ脇道にそれる箇所もあるのでそこらへんは手頃な探索要素といった感じで悪くないですね、STALKERシリーズのようなものを期待していたユーザーからは大ブーイングだったようですが…話がそれました。
ミュータントや人間との戦闘、銃と銃弾について
metro 2033の世界に安全な場所は基本的に各駅くらいなものでそこから一歩でも外に踏み出しと一気に地獄が広がっています、敵はミュータントだけじゃなくて人間も敵です。線路上に人が居なくても横道のおそらく以前は地下鉄の保守点検業務関係の部屋だったと思われる場所に大量に野盗が住み着いていることがあったりします、当然敵です、戦う他にありません。
人間以外もミュータントが居ます、おそらく素の何らかの動物が変異したのがミュータント、もしかしたら人間が素だったやつらも居るのかも…そういった危険な存在が主な主人公の敵たちです。
醜悪で恐ろしいミュータント、ただ動きは単調
暗闇や壁に空いた穴から這い出てくるのが奴らです、書いたように地下鉄内は暗くて視界が効かないので影からこっそり忍び寄ってくる奴らはひたすら驚異の一言です、今更だけどmetro 2033はかなり難易度が高いゲームなのはこういった環境の要素も大きいです。
このミュータント関係が出現するときは数の暴力で押し寄せてくることが多いです、残弾の問題で劣勢に立たされることも多く非常に恐ろしい、ホラーゲーム並に心拍数を上げてきます。動きが基本的にまっすぐ突っ込んでくるだけというネガティブな評価を受けることが多い本作ミュータントですが個人的には恐怖の印象が強くてそこは殆ど気にならないですね、まあ文句の内容は理解できます。
ただ問題はビジュアル…見た目のキモさは良いんですけど問題はミュータントの種類ごとに殆ど見た目が変わらないことです、よく出てくる画像の飛びかかってくるやつと口から音波を出すやつ、小さいやつ、何が違うのかスクショで比較しないとよく分からないくらい似通ってる、ここが非常に残念。
魅力的で非常に個性的な銃、リロードモーションさえ凝ってる
metro 2033にはAKや水平2連ショットガンなど現実にもある銃も登場するんですがこのゲーム独自が非常に特殊な銃もたくさん登場します、その銃はどれも個性的かつ強烈な魅力を放っています、metro 2033は2010年発売のゲームですが銃の魅力、クオリティは2021年になっても最近FPSに全く負けてません。
具体的にどんな銃がかるかというと、例えば最初に手に入る通称バカマシンガン、間抜けな名称で性能も低いんですがこれも妙に魅力的。手作り感満載のチープな見た目、低い性能、そしてマガジンに残弾の有無によって変化するリロード、世界観にピッタリ合いつつとても魅力的なんです。
他にも空気圧を使って発射するエアライフル、発射の度に空気を手動で充填しないといけない、弾薬以外にも気をつけないといけないけど消音性があって暗殺にピッタリ!そして散弾をフルオートマチックで発射するマシンガンのようなショットガンなどどれも恐ろしく惹かれます、繰り返しになりますが本当にこのゲームの銃の魅力には驚かされます。
ただ個人的な意見ですが残念な武器もあります、なぜかこのゲームアサルトライフル系がとてもつまらないんですね…AK74?もAK2012も非常に悪い意味で安っぽくてひどい…全くなんの魅力もない、他の銃との落差が酷い…他の普通の銃ならリボルバーも普通だけどこっちは撃ってて楽しいのになぜこうなのかさっぱり分からない、後述する軍用弾使用時とのバランスでこうなったのかもしれないと少し思ってます。
銃弾をお金として使うという発想、発射して使うというジレンマ
ポストアポカリプスな世界、つまり国家や軍隊や警察といった秩序が崩壊した世界ではもちろん従来の紙幣は文字通りただの紙切れになります、硬貨なら素材次第でそれ自体に価値がある場合がありますが紙の場合ほぼなんの価値もありません。なのでその他のそれ自体に価値がある物がお金の代わりとして用いられるのがポストアポカリプスな世界の鉄則です、例えばFalloutシリーズだとボトルキャップ、rimWorldだとシルバー、this war of mineだとタバコがお金のような扱いになってます、そして漫画だと弐瓶勉の人形の国では超構造体のネジがお金として使われるようです。話を地下鉄に戻すとmetro 2033におけるお金は戦前に作られた軍用ライフル弾になります、銃弾をお金代わりに用いるというのは驚きの発想です、Falloutシリーズはボトルキャップがお金でしたがそれよりも色々な意味ですごい設定だと思います。
そしてお金として利用出来るとはいえ銃弾です、当然銃に装填して発射することが出来ます。しかも粗悪な地下鉄製銃弾と違って軍用の弾丸なので品質が非常に高い、一発の威力が地下鉄製の弾丸よりもずっと高いです、軍用弾を使えば人間相手でもミュータント相手でも強力なアドバンテージになります。ただそこで大きなジレンマを抱えることになります、いくら強力な銃弾で敵を瞬殺出来てもそれはお金をばらまいて攻撃しているのと同じなのでやはりなるべく避けたい。だけどmetro 2033は非常に難易度が高いゲームなので軍用弾を用いないとキツイ箇所がいくつもあります、ここらが非常に悩みどころです…軍用弾を握ったままの死体が地下鉄に点在しているのはこういった事情でしょうね…。
本格的なステルスゲームに光と影
先程から何度か書いているようにmetro 2033は非常に暗い場所が多いです、ですがこれをホラー要素以外にうまいこと利用出来ていることがあります、そうでもステルス要素です。このゲームは非常に難易度が高いゲームなので基本的に敵がこちらに気づいてない場合は1人ずつなるべくバレないように暗殺していくのが基本です、なのでステルスの要素の重要性も高いわけです。
いくら周りが暗くても当然銃撃すればすぐに敵に気づかれてしまいます、ですがサプレッサーや投げナイフを使えば静かに敵を暗殺出来ます。そして鉄球や矢を使用する消音武器など暗殺兵器が充実していることからもやはりステルス要素の開発側からの熱意も伝わります。
明暗の描写が素晴らしい
上の画像、本当に大好きなんです、物凄く綺麗だなと思ってる…光と影…metro 2033的にも上の画像は色々と考えられるです。見ての通りプレイヤーは真っ暗な影の場所に居ます、ここにいればまず敵に見つかることはありません。ですが先の部屋に行きたい、だけど先にはランタンが爛々と輝いていて明るい、ランタンの火を消すためには接近して明るい場所に行かないいけない…銃を使って破壊することも出来るかもしれないけどそれが原因で敵に気づかれるかも…上のロケーションでは様々な考えが頭の中に過ぎった非常に印象的な場所です、この場所だけでこのゲームがどうやってデザインされているのかある程度分かるわけです。
総評 未だに色褪せることが無い名作
このゲームのリメイク前の作品が発売されてもう10年以上が経ちました、あれからFPSも当然進化して今から見るとMetro 2033は多少残念な箇所も目に付きます…だけど面白いか面白くないかでいえば…面白い!ポストアポカリプスな世界観、極限状態、オカルト、魅力的な銃、一歩踏み外しただけで現実から深い闇の中へ引きずり込まれそうな感覚…オカルト的な要素を自然に受け入れてしまう異常な状況、空気…今からプレイしても十分楽しめて魅力的です、大量の魅力で詰まったゲームです。
ですがやはり気になる点もあります、まずは難易度…今更ですがこのゲームは非常に難易度が高い、実は軍用弾をうまく利用すれば比較的楽に切り抜けられるんだけど使い所の判断は数年ぶりとはいえもう何度もプレイした僕もうまく判断できなかった、この辺が厳しいかなり。そしてゲームのボリューム、僕は今回久しぶりにプレイしましたが既プレイなのでクリアまでの時間は8時間でした、ボリューム不足は否めません。
癖は強いですが魅力もたくさんある、そんな尖ったゲームだというのは僕の感想です、現在は各種プラットフォームでセール時に500円以下で買えることが多いし値段的には間違いなく手軽に手を出せます、興味を持った方は遊んでみてはどうでしょうか?
未プレイかつこれから遊びたい人への簡単なアドバイス
軍用弾がこの世界のお金、だけど難しいと感じたらパッと使っちゃうのも良いと思う。
対人戦は基本的にステルス重要、正面突破はかなり厳しい。
簡単に手に入る武器ではリボルバーが頭一つ出て使いやすい、ミュータントも人にも使いやすい。
水平2連式ショットガンはかなり使いにくい、途中で多連装出来るショットガンを拾ったら大事にしよう。
爆薬などの消耗品も道中いくらでも手に入るのでどんどん使おう、火炎瓶はミュータント相手にも使える。
一部のショップでは特殊なスーツなども売ってる、レアな武器なんかもある。
蜘蛛の巣はライターで炙れる、これを知らないと道中のホラー演出が台無しになる。
無印metro 2033のDLCで手に入った強力な追加武器は以前の場所では手に入らなくなった、代わりに最終ステージ手前の基地で手に入る、ふざけんな!
図書館ゴリラチンパンジー馬鹿はじっとしてればやり過ごせる、じっとしてられれば…恐怖に耐えられない場合はスパイク付き爆薬や軍用弾を活用しよう。
コメント
的確なレビューと感想でハラショーです!
難易度が高く、雰囲気も人を選ぶとは思いますが、もっと多くの方々にこのゲームに触れてほしいですね!
コメントありがとうございます、すこやか紅茶です!実はこの過疎ブログの初めてのコメントで嬉しい!
僕の拙い文章でなんとかこのゲームの魅力が伝われば嬉しいと思って書いたんですが褒めてもらえて嬉しいっすね、これでプレイヤーが増えればもっと嬉しい!